第6回金沢学会

金沢学会2012 >基調スピーチ

問題提起

■テーマ 『遊楽都』

知性と感性のリゾート、遊楽都をテーマに

 

 

金沢創造都市会議開催委員会
副会長兼実行委員長
福光松太郎氏


 今ほども飛田代表幹事からお話がありましたように、本当にお天気の悪い日になりました。実行委員長の精進が悪いのだろうと思います。心からおわびを申し上げたいと思います。先生方にはご遠路を何とかたどり着いていただきまして、本当にありがとうございました。身内の方に入る佐々木先生お一人が、雪でJRの道が途絶えまして、京都からタクシーで、もうしばらくするとお着きになると思います。あまり大きな影響がなくて本当にほっとしているところです。
 飛田代表幹事からお話をいただきましたように、「遊楽都」という言葉を本年の総合テーマにさせていただいております。「遊学都」ではなく、「遊楽都」と書かせていただいております。金沢学会も創造都市会議も、約8カ月程前から企画委員会が動きだし、ホストの先生方と一緒に次の金沢の課題は何だろうかということをいろいろ議論しながら決めていくわけですが、今年の「遊楽」というのは、遊び楽しむことこそ創造の原点であると思っています。それから「都」というのは、人がたくさん集まる場所という意味を持っていると思いますので、創造の拠点であり、人がたくさん集まる場所とテーマを決めて、議論をしようということです。
 金沢は、以前から「知性と感性のリゾート」という言い方をすることがあります。体の場合のリゾートは休めることが楽しみですが、知性と感性はどんどん使う方が気持ちがいいわけで、リゾートと言っても、知性と感性を大いに使う場所になろうかと思います。このまちは多分、江戸からの歴史も含めて、知性と感性を持った人が集まってくる場所だったのではないかということも含めて、これからもそういう場所であり続けるということが、大きな命題だろうと思っております。したがいまして、知性と感性のネットワーク拠点というか、人々が集まり、いろいろと創造を生み出すような交流拠点でもありまして、先日、金沢市の新しい都市構想として、交流拠点都市であるということが発表されました。これもそういう意味を持っている言葉だろうと思い、今年は「遊楽都」について議論を重ねていただきたいと思っております。
 分科会の一つ目は「金沢を遊ぶ」とさせていただきました。2015年3月に、北陸新幹線金沢開業で金沢に新幹線がやってきます。したがって、来訪していただく方々が十分に金沢を遊べるようにする。そして、それも知性と感性のリゾートとして十分に遊べるようにしていくことが、まず一つの課題だと思います。
 また、その裏付けと言いますか、金沢を遊ぶくらいの面白い人材を集める仕掛けをどうしたらいいか。この円卓の中の宮田人司さんは、一種のトラップに掛かった人でありまして、創造都市会議やイート金沢で金沢が面白い、金沢は遊べると感じていただいて、金沢の住民になってしまって2年半ぐらいたたれます。このように金沢を遊ぶぐらいの面白い人材を集めることがまず一つ。それから、地元でも金沢を遊ぶぐらいの面白い人材をつくる仕掛けも必要だと思い、これまでのことも含めてどのようにしたらいいか、金沢を存分に遊んでいらっしゃる宮田人司さんにコーディネートをお願いするわけです。
 二つ目が「技を楽しむ」にさせていただきました。普通は「技を鍛える」「技を極める」と言いますが、ここはわざと「楽しむ」にしています。この部分は、ものづくりの創造都市としてのエンジン部分をどのようにつくっていけばいいか。交流が創造につながるには何か仕掛けが必要であり、その仕掛けはどういうもので、どうつくればいいか。それからまた、つくり出すものは何なのか。金沢は一体何を作る都市なのかということです。
 かつて、30年程前に、大内先生が金沢の未来を「アート・アンド・サイエンス」という言葉で表現されたことがありますが、意外に今もそれが生きているような気がしておりまして、金沢的な暮らしぶりも、一種の工芸的な現代の生き様ではないかという気もするわけであります。そのようなことをどのようにして具体的にものづくりにつなげていくか、その部分をぜひ議論していただきたい。
 創造都市会議、金沢学会でこの2〜3年、21ラボという概念が出てきております。まだワークショップにはっきりなっていませんが、このことが、これからの21世紀のものづくりや知恵づくりを生み出す拠点になれないかと漠然と思っており、今年のこの会議では、この辺も含めて少し具体的な課題にしていただければ大変ありがたいと思っております。二つ目の「技を楽しむ」は、創造都市論の家元の佐々木雅幸さんにコーディネートをお願いします。
 3番目は「時を過ごす」にさせていただきました。金沢を訪れていただく方々にとっての一日、朝から夜まで金沢らしいすてきなことは何かということは、もちろん大きな課題です。例えば、夜の話は既に金沢市の課題にもなっておりまして、夜景をもう少ししっかりとつくり直す必要があるのではないかという議論にもなっており、今日来ていただいております菱川さんには、金沢の夜景をあらためて撮影していただいて、その特色を分析していただいています。
 金沢のアイデンティティ、簡単に言うと他のまちと区別ができるということ、世界のまち、日本の中のまちと比べて、金沢は明らかに区別ができるということをどのように確立していけばいいか。世界の人々からこれが金沢だという区別できるイメージを、もう少し確立する必要があるのではないかとも思っております。金沢は決して伝統的なまちではありません。住んでいる人は、伝統的であり、かつ、革新的でもあるまちだと認識していますが、それがまだ世界の認識になっていないと思います。そこでこのセッションは、「伝統はかつて前衛だった」というのが口癖で、30年間、金沢のまちづくりを一緒にやっていただいてきました大内浩さんにコーディネートをお願いします。
 ちょうどいいタイミングで大内さんが北國新聞社さんから『伝統もはじめは前衛だった』という本を出版され、今日お越しの皆さまにお配りさせていただきました。ぜひ金沢を考える一助にお読みいただければと思います。
 このような問題を提起させていただきまして、皆さま方、先生方の討議を心からご期待申し上げる次第です。今日、明日、長丁場ですが、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました(拍手)。


 

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第一日目  12月6日

第二日目  12月7日

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