第7回金沢創造都市会議

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基調スピーチ

■概要説明 総合テーマ「クール・カナザワ」





金沢創造都市会議開催委員会副会長
社団法人金沢経済同友会副代表幹事
福光松太郎

 今日はお忙しいところ、ゲストの先生方、本当にありがとうございます。また、たくさんご参加いただいておりまして、心から御礼を申し上げます。
 開催委員会の飛田会長からごあいさつを頂きました。総合テーマについて、食を中心にお話を頂いたわけです。「クール・カナザワ」という総合テーマを設定したのは、「クール・ジャパン」という経産省が中心に打ち出しておられますが、言い方が、どちらかというと日本の近代文化やポップカルチャーを中心に指してスタートしたので、金沢サイドから見ると違和感があるなということもありました。
 クールを日本語で言うと、かっこいい、素晴らしい、すてきという意味があるのですが、英語の辞書を調べると、りりしい、渋い、粋なという意味もあります。必ずしも近代文化だけの話ではないわけで、金沢サイドから言うクールとは、食文化もそうですが、伝統文化、伝統価値、あるいは伝統的コンテンツのようなものをいかに新しくリノベーションをするか、すてきにバージョンアップするかが本当のクールではないかと思うわけです。この和食にしても、これから本当の和食を金沢から世界に通ずるレシピというかメニューにしていくには、まだいろいろと工夫が必要でもあろうかと思いますし、重要な柱であることは間違いありません。
 かつて、加賀藩三代の前田利常、五代の綱紀が工芸を立ち上げたとき、随分多くのプロデューサー、あるいはディレクターのような人を日本中から集めて、非常に素晴らしいサロンをつくりました。そして、江戸の文化と公家文化をうまく取り入れながら、その場所から加賀文化、金沢文化をつくっていかれた。経済用語の一種で「加賀ナイズ」という言葉がありますが、これは加賀藩が独自の文化をつくっていったときのやり方のことを言います。さまざまな伝統的な価値をクール化する、「クールナイズ」がこれからの金沢にとって大きな課題だと思います。
 この「クールナイズ」が創造都市会議や創造都市金沢の力の発揮のしどころなのだろうと、これからこの街が大いに頑張らねばならないということが、今日の総合テーマとして「クール・カナザワ」を掲げた理由です。
 それに関わる分科会を三つ準備しています。セッション@は「都心の求心力強化に向けて」がテーマです。金沢の町の「クールナイズ」のアイデアをたくさんお出しいただきたいと思います。開催委員会の飛田会長もおっしゃいましたように、2015年3月の北陸新幹線金沢開業とともに、2020年の東京オリンピック開催というグリッドもあるわけです。2015年3月はもう目の先ですから、今、まだ課題があれば緊急課題になるわけですが、2020年までもあと7年しかありません。このときには、海外から来られるお客さまのほとんどが日本の文化的な価値を求められて、すてきな地方をたくさん旅される時代に完全になっているでしょう。既にその兆しが大きいわけですが、そのときにこの地域はどういう地域であるべきかが、非常に大きな課題だと言えます。
 また、そのときにいろいろな規制を外すために、特区設定のようなものがうまく使えるかどうかも議論していただきたいと思います。今日のセッション@は、創造都市会議のおなじみのお三方に加えて、政府で特区の仕事をお手伝いされておられる西本さんにお越しいただいております。
 セッションAは、ユネスコの創造都市世界会議の2015年金沢開催に山野市長が昨年の北京会議で手を挙げ、今年のボローニャの世界会議で金沢開催が決定されています。従いまして、この金沢を世界に開いていく大きなシナリオの一つは、世界の創造都市と日常的に付き合いをすることだと思います。その意味で、世界会議開催は、世界の創造都市の仲間の中へ入っていく、いわゆる社交界デビューのような大きな位置付けではないかと思います。クラフト創造都市金沢を世界の創造都市の方々にきちんと認知していただく大きなイベントというか、会議ではないかと思います。食文化を中心にクラフトを展開するといったアイデアも大いに考えられると思っています。今日は佐々木先生がコーディネートをされ、以前お越しいただいた前文化庁長官の近藤さんと、神戸でデザイン創造都市の発展にまい進しておられる矢崎さんにお越しいただいております。
 セッションBは「『21ラボ』の始動に向けて」というセッションです。この2〜3年、金沢創造都市会議・金沢学会で議論してきた「21ラボ」は、金沢のまちづくり・ものづくり研究所のようなものですが、これは伝統価値のクールナイズの非常に大きなエンジンになる重要なラボであると思っています。これに具体的にどんな構造やどんな機能を持たせるのか。宮田さんのコーディネートで、これまで多くの人材を育て起業させてこられた孫泰蔵さんと、世界のさまざまな創造力を深く見ておられる林さんにお越しいただいております。また、ボストンからアートで未来を拓くという行動指針を実践しておられ、MITのメディアラボにおられるスプツニ子!さんにもお越しいただいて、このセッションを議論していただきたいと思います。
 明日は午前10時から全体会議を開きます。恒例どおり、山野市長にここに入っていただいて、一緒に議論をしていただきます。分科会のことも踏まえて、総合的に議論を進め、金沢創造都市会議2013宣言を採択させていただければと思っています。課題になったものは、採択後すぐ、ワークショップとして実現へ動かしていきたいと思っています。長丁場ですが、皆さま、どうぞお付き合いいただきまして、この金沢の未来を切り開くきっかけの会議になればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします(拍手)。(拍手)。


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