第8回金沢創造都市会議

金沢創造都市会議2015 >開会あいさつ

開会あいさつ

■開会あいさつ



金沢創造都市会議開催委員会会長
一般社団法人金沢経済同友会代表幹事
安宅 建樹

 

観光ブームに惑わされない金沢の都市の文化力強化をはかる文化都市こそが金沢のめざす姿、
振興条例を追い風に魅力強化を



 この地の悲願であった北陸新幹線が、2015 年3 月に金沢まで開業しました。金沢経済同友会はいち早く北陸新幹線時代に目を向けて、石川県や金沢市と協力しながら、また、いろいろな力を頂きながら、この金沢創造都市会議をはじめ、城下町金沢などの世界文化遺産登録運動、金沢検定、また企業市民運動の展開など、いわゆるふるさと磨きをしてまいりました。この中で最も長い活動が、この金沢創造都市会議であり毎年交互に開催している金沢学会です。1997(平成9)年ですから18 年前ですが、金沢経済同友会の創立40 周年記念事業として企画され、翌年から3 回、プレシンポジウムを行いました。2001 年には第1 回金沢創造都市会議、翌年には第1 回金沢学会を開きまして、今日まで18 年間、いわば金沢の未来形の魅力づくり、言い換えますと、新幹線時代の金沢の在り方を論議してきていただきました。金沢市が2009 年にユネスコの創造都市ネットワークに世界で初めてクラフト部門で登録されたのも、この活動がベースになってできたわけです。また、本年5 月には創造都市ネットワーク会議がこの金沢で、日本で初めて開催されましたが、この活動の成果であると思っています。この創造都市ネットワーク会議においては、世界の創造都市の市長や関係者等多くの方に来ていただき、金沢の文化性、創造性をアピールし交流を進める第一歩を踏み出したと思います。
 本年4 月には、金沢経済同友会が第28 回の全国経済同友会セミナーをこの金沢の地で開催しました。今回、ゲストで来ていただいている近藤前長官には、基調講演をしていただきました。それから、金沢経済同友会が担当し、私が議長をさせていただきました分科会で「世界からたくさんの外国人にどうして来てもらうか」というテーマにパネリストをお務めいただき本当にありがとうございました。
 その席で印象的なことがありますのでご紹介しますと、これは確か沖縄の有名な旅行代理店の会長さんだと思いますが、彼が「爆買い格安ツアーの旅行者は東京や大阪に任せておけ。金沢はもっと質の高いお客さんに来てもらうようにすべきだ」ということもおっしゃっていました。また、この観光客受け入れの前提は、地域住民が安全・安心・快適であるということが一番の基礎・基本ということもおっしゃっていました。ちょうど8 カ月前に北陸新幹線が金沢まで開業し、本当にフィーバーというような状況ですが、沖縄の方がおっしゃったことに関して考えますと、全く逆の方向に行っているのではないかと懸念しています。押し寄せる観光客によって金沢の豊かな文化性などが、荒れてきているとまでは言いませんが、脅かされているとも言えます。あるいは住民の安寧な生活が脅かされ、残念ながら簡単におでん屋にも行けなくなりました。本当の意味では、住民の、今ま
で何気なしにやってきたの日々の生活が脅かされているのではないかと指摘され、われわれ自身も非常に感じているところです。先週、金沢経済同友会と山野金沢市長との意見交換会があり、当会の提唱を受けまして、山野市長は伝統芸能や工芸などの次世代の担い手育成を中心とした文化振興条例をつくることを確約していただきました。本当に金沢市が真剣にこのようなことに取り組んでいただくということで、心強い思いです。
 金沢は、一過性のブームに陥りやすい観光都市を目指すのではなく、藩政期以来の歴史に裏打ちされた文化都市の力は十分にあると思いますので、それを目指す方が都市のアイデンティティーも上がり、持続的な住民の生活も確保されていくということが優れた方向だと確信しています。本年の総合テーマである「2020 文化プログラム」は、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、全国で展開される文化プログラムに関し、金沢では何をどう打ち出していくか、世界にどうアピールしていくかということを中心に議論していただきます。皆様には、ぜひ住民生活の安全・安心・快適さの確保という観点も頭に置いていただいて、この地の豊かな文化性・創造性が十分に発揮され、後世に伝えていける遺産をつくり出せるような、地に足の着いた実り多い議論をしていただくことを切にお願いしまして、開会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

(拍手)


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