これまでの経過報告

金沢創造都市会議開催委員会実行委員長
福光松太郎

 ただいま基調スピーチを頂きましたが、今回通算で五回めの開催となっておりますが、今日初めて金沢創造都市会議にご出席の方もいらっしゃるかと思います。そこで、スライドを写しながら、少し経緯を振り返らせていただきたいと思います。
(以下、スライド併用)
 金沢創造都市会議は、金沢学会というものと毎年交互開催をさせていただいております。今回、三回目になる金沢創造都市会議ですが、これは、金沢の都市の問題について、創造的かつ実践的な解決手法をさまざまな方々から集めたり、そして議論をして提案していただいたり、そういうタイプの公開型の会議という形で開催しております。来年になりますと、今日のテーマなどを中心に、さらにそれを掘り下げ、そしてワークショップなどを作り研究調査を続けていき、それらの実践的な課題をさらに議論する講師の先生方だけにお集まりいただいている金沢学会、その議論の場が金沢学会のラウンドテーブルということになります。これは、非公開で会議を開催しております。
 2001年から始まったわけですが、第一回の金沢創造都市会議のメーンテーマは、「記憶に学ぶ」ということでした。これは、記録と記憶は違うのだと。記憶というものの中に、この金沢の遺伝子そのものが含まれているに違いないということで、この「『記憶』に学ぶ」というのが一つの研究や討論のスタンスにも今なっているわけです。
 当時、「都市の記憶と想像力」という記念対談をスタートしました。第一回の分科会では、「金沢の構造」、「経済」、「こころ」という形でさまざまな皆様にお集まりいただいて、いろいろと提案を頂きました。今は亡き野村万之丞さんにも酸化いただきました。
 毎回、宣言を採択しておりまして、2001年の第一回めの金沢創造都市会議の宣言はごらんのとおりですが、ちょっと読み上げさせていただきます。「一.金沢らしさを育て磨くために、歴史と文化を学ぶ『ふるさと教育』の重要性を再認識した。中でも『記憶』から引き出された金沢らしさを、幅広く、分かりやすく語り伝えていくことの必要性を確認した」「一.こうした観点に立って、社団法人金沢経済同友会は、各界からの参加を求め『金沢学会』を創設する。『金沢学会』は金沢の『記憶』を掘り下げ、先人の知恵と経験に学び、個性豊かな金沢を創造するための方策を探り提言していく」ということで、このときの宣言で金沢学会が作られることが決まったわけでした。
 そして、次の年に準備されて、第一回の金沢学会が開催されましたが、この金沢学会のテーマ、「美しい金沢」というのが、今、グランドテーマになっております。このときの飛田代表幹事からの基調スピーチで、「美しい金沢」づくりというのはグランドテーマであるべきだということと、長い目標として、尊経閣文庫をそのうち誘致したいということも発表されたわけです。そしてまた、川勝先生からは、先生にはこの金沢学会の議長に就任していただいているわけですが、金沢という町そのものを研究テーマにすることの意義ということを大変熱く語っていただきました。それは、この金沢学会のいわゆる位置づけの基調、基になっております。金沢学会では具体的に四つの研究がありました。金沢の夜景のデザインについて、大手門中通りの再生について、金沢へ周りから入ってくる四つのアプローチロード、四つの花道について、そして中心部のにぎわい、香林坊界隈のにぎわいづくりについて、こういうことが議論され、これらはそれぞれ今、ワークショップとして研究が続けられるという形になっております。
 このときの宣言は三つあります。「『天下の道は金沢に通ずる』との志を立て、グローカリズムの視点から、実践的な金沢学を深める」。「『美しい金沢』づくりに向けて、何よりも住む者が自らの町に誇りを持ち、自信を深めることのできる方策を講じるという観点に立って行動する」。「尊経閣文庫は加賀文化の『魂』として、この地において保存されることに意義があると考える。この学会で研究された提案と尊経閣文庫の課題を五つの提言として、その実現に向けて積極的に取り組む」。
 2003年は、第二回金沢創造都市会議が開催されました。このときからは、いわゆる「都心居住と創造都市」というのがメーンテーマになっておりました。基調対談としては、山本理顕さんと三宅理一さんで「都心居住と創造都市」という形で行っていただき、分科会は、「コンバージョンによる金沢の都心活性化」、これは既存のビルを新しく造り直すという課題でした。それから、「都心のにぎわいと暮らしぶり」、「都心再生のプログラム」といったことをディスカッションしていただき、このときの宣言は、「金沢らしいまちづくりや都心再生には、金沢の歴史、文化、伝統を現代に生かす戦略が必要だ。兼六園の世界遺産登録に向けた運動が始まろうとしている今、『感性』を働かせ、金沢独特の趣、すなわち『風情』ある都心づくりに取り組む」。「金沢学会で提言された、金沢の夜景デザイン、大手門中通りの再生、香林坊界隈のにぎわいづくりの一環としてのオープンカフェ開設が動き出した。こうした町づくり事業は、行政頼みではなく、心ある経済人や市民が資金を出し合って支える、町衆の心意気が必要である」。町衆の心意気というのがこのときに打ち出されております。
 そして、前年の金沢学会を受けて継続していたワークショップがありますが、この第二回の創造都市会議でも経過報告されました。いくつかを紹介します。まず、香林坊界隈のにぎわいづくりをテーマに、オープンカフェの実験が昨年と今年の2回、すでに行われております。これについては、明日また報告があります。それから、いわゆるかつて金沢城の正門として、メーンストリートであった大手門中通りの再生です。スクリーンは河北門の復元CGですか。この正門を復興することも含めて、メーンストリートを復興できないかということがありました。これはその後、市が受けて、市の委員会にもなっていろいろと進んでおります。これも明日、報告があります。
 それから、四つの花道をさらに美しくということで、これはこういうふうにアプローチロードが四つありますが、これらについても、今、屋外広告の規制等さまざまな行政の動きも起こり、これも幾らか進みましたので、明日報告があります。
 それから、夜景については、金沢らしい灯りを考える社会実験が昨年行われております。この写真は金沢工大の学生さんのパフォーマンスが映っていますが、照明器具のさまざまな試作品を実際に広坂通りで置いてみて実験をしました。その結果から選ばれた照明器具などが今、旧県庁舎の右側の新しく緑地された所などに使われだしております。これも明日報告があります。広坂には金沢21世紀美術館ができましたので、新しい金沢の夜景が一つ生まれました。中心街の活性化につきましては、香林坊界隈だけの話ではなくなってきており、香林坊から武蔵が辻、駅前までのいわゆる金沢のビジネスメーンストリートが、都市銀行の支店のむ統廃合などでなくなったり等、さまざまな動きの中で、空床率、床の空いた所が増えていっているのが大変な問題になっております。それについてどうするかをいろいろ検討中ということで、これも明日報告があります。
 昨年の第二回の金沢学会は、メーンテーマを「都市の風格」ということで行われました。大きく都心のデッサンをどうするか、今の、特に香林坊から武蔵が辻にかけての都心の新しい形というのは何だろうかということ、そしてまた、そこの空き室をうめたり、活性化する仕掛けというのはどういう方法があるのかということを、随分ディスカッションしていただきました。その中で現状報告をかなり分析し、そしてまた次のデッサンのところでは、コンバージョンの方法がいろいろと議論され、次の仕掛けのほうでは、東京の一部で行われているさまざまな仕掛けや家守制度なども含めて、今後研究していこうということになっております。
 そして、宣言としては、「都市の風格を高めるために、ふるさと教育、金沢の文化遺産の世界遺産登録をさらに目指そう」ということ、そして、「風格ある活力に満ちた都心づくりを目指し、都心の空洞化対策として家守制度などを提言し、具体的な取り組みも展開しよう」という採択になっております。
 そして、今日明日が第三回の金沢創造都市会議です。今日は、今、基調スピーチを頂きましたが、テーマは「都市遺産の価値創造」です。したがいまして、今の基調スピーチでお分かりのように、金沢経済同友会としては、真ん中に「ふるさと教育」という大きな柱を据えておりまして、それらを大きなビジョンとして、金沢を世界遺産にということで世界遺産登録運動を進めていること、そして、ふるさと価値をうんと広げたり、気づいたりしていただくために金沢検定というものをスタートさせたということ、そしてまた研究討議の場として、この金沢創造都市会議・金沢学会が置かれている。こんな形で構成されています。
 そんな中で、今日から第三回の金沢創造都市会議が始まり、都市遺産の価値創造という基調スピーチをスタートとして、議論していただこうということです。ご参加の皆様にも、ぜひ大いに興味を持っていただき、明日の全体会議にはフロアからの発言もけっこうですので、ぜひご参加いただければと思います。
 以上で経過報告といたします。ありがとうございました(拍手)。
それではこれで、午前の部を終了させていただきます。引き続き午後の部のご聴講をよろしくお願いをします。それでは、休憩とさせていただきます。
  
 
 
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