金沢学会02 ワークショップ報告 3
「香林坊界わい賑わいづくり」中央公園オープンカフェ実験報告
     
報告者:水野雅男
     
●水野:それでは報告します。 (以下、ビデオ上映約三分)
今見ていただいたように、中央公園の入り口でカフェをやろうという実験をしました。その目的は、町中にたくさん広場や公園があるのですが、なかなか市民が腰を下ろして休んでいない、どうしたらいいのかということを考えまして、やはり飲食を伴わないと人は腰を下ろさないのではないかということを実証する。あるいはその逆に、飲食があれば人はそこにたたずんでゆっくり休んでもらえるのではないかということを実証しようということで、実験を行いました。
(以下スライド併用)

○今回、中央公園でイベントのない日の週末4日間、12時から17時まで5時間ずつやりました。天候にも恵まれ、400人余りのかたがコーヒーを飲んで腰を下ろして休んでいかれました。一日めは全く告知せずにやりまして、そのことを新聞等で報道していただいた結果 、二日め以降お客さんの人数は増えました。

○そこで全員ではないのですが、アンケート調査をお願いして、百数十名のかたに回答を頂きました。ここに属性を示してありますが、金沢市内の方は7割ぐらい、20代が半分ぐらい、20代から40代まで含めますとかなりの割合になります。そして、友人同士、友人連れ、単身、家族、そういう割合になっております。そういう方々に答えていただきましたが、最初の基調スピーチにもあったとおり感性に訴えるものですから、アンケート調査も段階評価ではなくて言葉で書いてもらうことにしました。

○まずカフェの居心地はどうですかという問いに対してですが、好天に恵まれたためにほぼ100%に近いかたから、「心地よい」「気持ちよい」という良い評価を頂きました。そして、中央公園の入り口にあるということもすごく好評でしたし、屋外でお茶を飲めるということで、風や町の空気を楽しむことができたということが、コメントとして具体的に挙がりました。それを少し具体的に見てみます。
まず場所についてですが、「カフェがあると、公園に来るきっかけができるのでうれしい」「公園はさわやかで気持ちがいい」「公演のそばなので落ち着いてコーヒーが飲めた」と。また、面 白いのは「外で飲む習慣がないせいか、とても新鮮で居心地がいい」ということなどがありました。あるいは、「場所はとてもよい」「人がいるとにぎわいがあってよい」ということがありまして、町中でこういう屋外で飲めることに対して評価を頂いています。
金沢の方は屋外のカフェテラスで飲む機会にあまり恵まれておらず慣れていらっしゃらないので、初日などは横目で眺めながら通 っていかれるかたもかなりいたのですが、二日め、三日めになるとだんだん人数が増えましたし、そういう所に慣れていらっしゃるかた、そういう所で飲んだことがある人が腰を下ろしてコーヒーを飲んでいかれました。

○空間について、「異空間のようで素敵だ」「自然の中で一息つくのが最適だ」「都会的でおしゃれになった」というようなこと。あるいは、先ほどありました「空気の流れ」とか「風にあたって心地よい」という言葉が出てきております。

○サービスについてですが、今回は移動式のカフェに協力してやっていたのですが、一杯一杯丁寧に入れていますから、「とてもぜいたくな時間を過ごすことができた」という評価を頂きましたし、スタッフとして学生たちに協力していただきましたが、「スタッフの笑顔もよかった」という評価も頂きました。

○カフェの実験をやることに対する感想も聞きました。「よい試みである」「評価する」「画期的」など、基本的にこれも好意的な意見をほぼ100%頂きました。「これからも続けてほしい」とか「もっとたくさんあるといい」という意見も寄せられました。それをもっと具体的に見てみます。

○「金沢にふさわしいのではないか」「町のにぎわいにつながるだろう」「こういうことをやると町自体にぎわえる」「町に来る動機も強くなる」ということも言われました。

○「多くの場所でカフェをやっていただきたい」「実験に終わらせずに、本格的に営業をしてほしい」「また来たい」「屋外でこういう過ごし方をもっとしたい」という意見も頂きました。

○最後は「行政の規制緩和や支援をもっと求めてやったらいいのではないか」という意見も、数多く頂きました。

○今回、中央公園の入り口でやったのですが、その前段がありました。これが中央公園で、この入り口でやっていたのです。ここに香林坊アトリオと109があります。最初はこの香林坊広場でやろうと企画し、行政からもいいでしょうということだったのですが、その近くの喫茶店から営業妨害だと言われて中断しました。次に柿木畠に行くと、向かいの喫茶店からも困ると言われて、やむなくここにしたのですが、結果 オーライで、なかなか場所がよかったです。

○もう一つ、行政上の手続きがありました。公園法では基本的には売店や便益施設が認められているのですが、その便益施設とは何かと見ますと「カフェなどを除く」となっているのです。ですから、それを恒常的に営業することは現段階ではできないことになっているのです。万が一イベントでとしてやる場合にも、二週間前に公園占用許可申請を出さなければいけないということで、かなり煩雑な手続きを経なければならないということになります。

○そうすると、公園法やその施行令の縛りがあって恒常的には営業できない。それを催事として営業する場合には行政は周囲の理解を得てくださいと。つまり、周辺の商店街などの理解を得てくださいというわけですが、そうすると先ほどありましたように同業者から営業妨害を主張されたり、一店舗だけ反対していても商店街組織としてはその反対の声を抑えられないという組織の実情もあるわけです。万が一それが通 ったとしても、手続きは煩雑で、通年営業はなかなか支障があるという状況があります。

○そういうようなことで、今回実験を四日間やりました。今後の課題としては、市民のかたから圧倒的に好意的な意見を頂いたわけですから、もっと多くの市民のかたに知っていただくために、数多くいろいろな場所でこういう実験を繰り返すことが必要だと思います。それと、行政に対してもう少し許可申請を簡単にできるようにするということも、お願いする必要があると思います。 三番めに書きましたのは、もしも本当に本格的に営業できることを目指すとすれば、中央公園なら中央公園の管理運営組織を市民レベルで作って、そこが営業したいという業者を選定する。それだけではなく、清掃管理も含めて、NPOの団体になるのでしょうか、そういう管理運営組織が公園や広場ごとにできていって、そこがカフェや清掃などいろいろな面 で、管理運営全体を統括するような組織を持てば、行政もやりやすいでしょうし、市民もうまく利用できるのではないかと思います。

○そういう実験をした数週間後、つい数日前に新聞報道がありましたが、中央公園の入り口にカフェを整備しようという予算申請をするという動きが出てきたそうです。県の管理事務所を訪ねると、そこは全く知らなかったことらしいのですが、どこかからそんな動きがあるそうです。今回我々が実験をやりまして、市民の人にも居心地のいい空間だということを知ってもらえましたし、行政担当者にもそれは分かってもらえたということで、やはり見てもらう、感じてもらうということがすごく大事だということでした。初期の実験の目的が達成できたと思います。

○今回は私たち創造都市会議の開催委員会が実行しましたが、企画運営協力はNPO団体のVIVA、そしてスタッフ協力として、町ゼミのメンバーに協力をお願いしました。
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