課題討議の報告
     
金沢工業大学客員教授
小松俊昭
   


(小松)
 おはようございます。(以下スライド併用)

●私からは「活性化の仕掛け」ということで、ご報告します。今、大内先生からお話がありましたように、第2部ではどうすれば金沢がさらに都市の風格を持つ町になるかという空間のイメージをご提案いただいたかと思います。これに対して、実際どうすればいいのか、その仕掛けの部分です。私なりには二つの要素ということで、ここにありますように、どうやってまず人を育てていくか。その過程から金沢が持っているコミュニティー、特に町内会の仕組みなどの再生ならびに活性化を進めていくことが重要でしょうと。

●この実現のための手段として、家守事業ということを提唱させていただいています。家守というのは、江戸時代に長屋における家主と店子をつなぐある種のコーディネーターの役割をしていたと。このかたがたがコミュニティーを形成してきたという、その歴史的な史実をお借りしようと。これが金沢らしさの一つの要素になるのではないかということです。同時にこれを事業として成り立たせなければならないのですが、極めてパブリックなNPO的な視点から、エリアのマネジメントといいますか、結果として産業のインキュベーションということも視野に置いた事業にしないとまずいですねという提案です。

●具体的には不動産のサブリース事業ということで、空いたオフィスをお借りして、それを店子に相当するテナントにリースするという、非常に単純なコンセプトです。ただし、これ自体が非常に事業性というのは簡単ではないということは、ご出席の木虎常務が大変お詳しいことです。ですから、この事業を成り立たせるためにはいろいろな仕掛けを講じなければいけない。一つには、ここにありますように、デジタル的な要素を加味した事業を幾つか展開したらどうですかと。こういう中からさらに、その家守事業を広げていくということをご提案しております。

●実際にどういうことが家守の事業としてありえたかということで、コンバージョンで政策投資銀行がこの10月に世田谷の中学校の廃校を使って、物づくり学校というのをIDEEという会社が起こしました。これはまさに家守的にサブリース事業として立ち上げたものです。これを紹介させていただきました。

●もう一つの例が、昨日はご出席いただいたのですが、ゼンの宮田さんという、着メロを世の中に広めたということで有名な事業家でいらっしゃいます。このかたが神宮前で大変おしゃれなレストラン、バーをしている、この中身をご紹介させていただきました。

●昼はスムージーというカフェを営業し、夜はダイニングバーと。これが金沢らしいかというご質問があったのですが、私なりにはこういうおしゃれな雰囲気の場を作ることによって、若い人が集う空間、たまり場ができるだろうという趣旨で考えています。

●店の中はご案内のとおり、こういう形の非常に雰囲気のいいスタイルです。

●これも同様です。

●実は地下のほうにデジタルスタジオが用意されており、ここでアニメの制作をしております。さらに、音楽スタジオも設けられていると。17坪という非常に狭い空間を、しかも昔、酒屋として使われていた空間をコンバージョンして、これだけのおしゃれな空間に仕立てたと。プロデューシング能力に大変たけたかただということがお分かりいただけると思います。

●まさにこういうたまり場的な雰囲気になることを、私も望んでいるということです。

●先ほどのスタジオの地下の雰囲気です。スタジオらしくない、非常におしゃれな空間をお感じいただけると思います。

●いよいよどうすれば家守が成立するかということですが、どうしてもオーナーの意識改革ということです。これは私もやや過激なお話をさせていただきましたがも、ほうっておくとビルの投げ売りがこれから始まってくる可能性があるので、それに備えた対策を早めにしましょうということです。

●今度は宮田さんにお願いして、かりにテナントとして入居するとした場合にどんな条件が必要かということで、お話しいただきました。宮田さんなりには、地方都市でも金沢のようなソフトウエアハウスもデザイン会社も多い、人が非常に、大学も含めて若いかた創造力豊かなかたがたが集まっている場では、低コストでハイクオリティーな作品制作が可能ではないかという考え方です。

●そのためには、やはり事業ですのでリスクを少しでも低減していただきたいということで、幾つか、優遇賃料、産学連携、優秀な人材の確保ということを宮田さんなりに提言されているということです。

●これがまとめになるわけですが、結局、人を育てるための仕掛けということで、私なりには、やはり場を作るために家守を育てるための会社が必要でしょうということです。それと、家守というのは非常に難しい仕事だと思います。昨日、神野社長もおっしゃっていましたが、周りからはバカだと言われながらも狂ったように飛び回る存在が家守に求められる要素でして、こういった家守を温かく支えてあげるサポートシステムがやはり重要ではないかと。そのためにはやはり地域のコミュニティーを支えてこられた町衆の出資が、どうしても欠かせないでしょうということです。

 さらにその家守が、いずれは単に東京だけではなく世界で活躍できるような、ある種の人材のインキュベーションの場になったらいいですねと。ただし、これは最終的には、昨日も出ましたけれども、やはり市民が前面に立って、かつそれを産業界、教育界、行政、お互い連携して支える仕組みがどうしても必要だということでくくっています。

 資料のほうは以上ですが、幾つかご提言を頂きました。簡単にお話ししますと、まず都市再生機構の小林部長は今日はおいでになられていませんが、家守のイメージは結局地域活性化のプロモーターだろうというお考えです。ただし、これを実現するためには、公の支援とともに民の発想がどうしても重要でしょうねと。それと、水野誠一さんからは、産業の育成というのは新しい分野も必要だけれども、既存産業の再生ということも視野に置いたほうがいいでしょうというお考えを頂いております。その結果として、例えば家守ファンドを作りながら新たな産業育成を図ったらどうかというご提言を頂いております。
 水野一郎先生からは、かつて東の茶屋街が老朽化した時に、それを支えた町衆のJCのかたがたが町屋を買い取ったという事実があると。これと同じようなことを今回の家守においても実現したらどうかというお話がありました。菊川産業政策課長は、やはり企業の進出を促すためには、特に外資系企業というのが一つの非常な有望策だろうと。そういった外資系企業が進出するためには、やはり金沢の持つ文化や生活環境をより売り出すことが重要でしょうというお話でした。
 また、先ほど水野さんからご提言がありました家守ファンドについて、私なりに簡単に中身を説明させていただきます。通常、ファンドというのは毎日のように新聞をにぎわしていると思いますが、この家守ファンドというのは非常に特殊なファンドだと思います。一つには、恐らく、水野一郎先生から分析いただいておりますが、今、南町のビル街で、ITの装備や個別の空調、セキュリティーという部分がウィークなビルが多いと。そうすると、これを改装するためにはけっこうお金がかかるわけで、これをファンドによって少し最先端のものに改める。ただし、その店子として入られるかたには安い賃料で貸してやるという仕組みが必要でしょうと。そのためのファンドですと。
 二つめには、低コストの賃料を実現するために、すでに山出市長のほうで補助金の制度を設けていただいているということですが、それでもまだ払えないようなベンチャー企業があります。そういった場合に、東京の一部ですでに始められているように、株を対象にして、株を担保にして賃料を安くしてやる。逆に言うと株を頂きながら家賃は実質負担ゼロにしてやるというやり方もあります。そのためのファンドというやり方で、幾つか、ファンドの用途というのは多岐にわたっておりますが、この辺を少し中身を練り上げていかなければいけないだろうと思っております。以上です。

(福光) どうもありがとうございました。昨日の様子が、昨日お出ましの方にはもう一回映像を結んだかと思いますし、今日からお出ましの方にうまく伝わったかどうか。今からいずれにしてもすべてを混ぜ合わせた討論に入っていきますので、進行を佐々木さんにお願いします。

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