第3部 課題2 「活性化の仕掛け」
     
金沢工業大学客員教授
小松俊昭
株式会社ゼン代表取締役社長
宮田人司
 


「家守事業による活性化」
 



(小松) 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました小松です。今から私とお隣に座っております宮田さんとで、今日は1部、2部といろいろなご提案も含めたたくさんちょうだいした情報を前提に、ある種の仕掛けを具体的にやっていこうということですが、そのときのキーワードとして、「家」に「守る」と書きまして「家守」という江戸時代に存在した仕組みを、金沢らしく復活できないかという提案をさせていただきたいと思っています。
 最初に、自己紹介を簡単にさせていただきます。私自身は、この4月から金沢工業大学の客員教授ということですが、中身的には、教鞭を取るというよりは、産学連携のコーディネーターのような仕事を、東京を中心にやらせていただいています。それまでの約2年間、この3月まで、日本政策投資銀行の北陸支店の次長をしておりまして、北陸3県の取引先とのおつきあい、並びに経済動向といったものを、どちらかというとフィールドワークを通じて、皆さんからある部分教えていただきました。したがいまして、これからの私のお話も、金融マンとしての側面の見方と、いわば転勤族として外から見た金沢という視点でお話をさせていただきます。
 途中でお話ししていただきます宮田さんは、私以上にはるかに有名なかたでして、携帯の着メロをビジネス化して、それを世に出したということで、事業家として大成功を収められているかたです。加えて、もともとミュージシャンでいらっしゃるという、クリエーターとしての側面も大変お持ちで、これからご説明します資料も、実は8割がた宮田さんの、まさにアーティストとしてのセンスで作られておりますので、そこは皆さん、楽しみにお願いします。
 早速入らせていただきます。今日はいろいろと活性化ということで、特に金沢の中心街、とりわけオフィス街の空洞化をどう防ぎ、かつこれから新たに人を呼び込んでくるか。にぎわいを創出するか。これが大きなテーマですが、私自身も金沢を見させていただいて、金沢らしさというものを幾つか念頭に置かせていただいています。一つは産業的に、デザイン事務所が非常に多い地域であることはお聞きしています。加えて、ソフトハウスも大変多く存在していらっしゃるということで、まさに仕掛けに必要なかたがた、人材が、大変多く金沢にはいらっしゃるということを感じています。
 他方で、いわゆる温故知新的に考えますと、金沢には町内会が非常に充実して残っており、世帯数では17万所帯のうち、町内会の加入が14万所帯と聞いております。これだけ高い町内会の加入率を中核的な都市で有しているのは恐らく金沢だけだろうと。したがって、ある種のコミュニティーをこれからどう維持していくのか、再生していくのか。今日の私なりの仕掛けの基礎要素としては、ここにありますように二つの要素、一つには人をどう育てていくのか、それから、コミュニティーがこれからどう再生を図り、並びに活性化していくのか。こういう視点で、やはり金沢は大変有望な要素が残されていると評価しております。そのために何が必要かというときの手段として、家を守るということで家守という言葉を一つのキーワードにしながら、事業展開したらどうかというご提案です。
 では、家守事業とは何かということです。江戸時代に長屋が存在しました。そのときに、大家さんと店子さんとの間をつなぐ役割、いわゆるコーディネートしたのが家守といわれていたそうです。実際に「なるほど」と思うのは、向こう三軒両隣とよくいわれますが、江戸時代も含めて、コミュニティーの中で隣同士の会話が円滑にいっていると、不自由のない生活ができる空間が結果的にできていた。要するに生活空間として、例えば魚屋さんがいて大工さんがいて等々、日常生活に不自由のない職種が、バランスよく家守のコーディネート力によって、テナントとして店子さんが入っていらっしゃる。これは、大家さんにとっても非常に安定性のある収益源になりますし、店子でいらっしゃるテナントからしても、日常生活を非常に快適に過ごせるということだったと思います。
 それから、もう一つは場ということが非常に重要と思っております。家守というのも非常に場を大切にしていたのではないか。つまり、コミュニティーを維持するときには、私のような中年の、しかも転勤族の単身生活者にしてみると、気楽に飲める飲み屋さんというか、居酒屋さんといいますか、こういう存在は不可欠な要素になるわけです。そういったときに、独り寂しく飲むよりは、皆でワイワイガヤガヤ、こういう形のほうがいいに決まっています。そういう意味でいうと、コミュニティーというややパブリックな視点から、家守の事業をとらえることが必要ではないか。
 結果として、この家守事業は金沢風に展開されるとすると、まず一つにはコミュニティーの形成といいますか、新たな金沢らしさの形成につながる。先ほど水野先生をはじめ、お話がございましたように、ある時点で金融機能によって南町の界隈で、かつてのテナントミックスが破壊されたかもしれません。これをもう一度家守の再現によって新たなテナントミックスを創出しようという考え方です。さらに、それが発展すると、冒頭に申し上げましたように、金沢に多数いらっしゃるデザイン、建築を含めた事業所のかた、あるいはソフトハウスのかたがたのビジネス・インキュベーション、まさにSOHOを含めていますが、これが可能になってくるわけです。これも恐らく私が拝見していますと、東京とのビジネス交流は大変多いと思いますが、金沢市内にいらっしゃるデザインハウス同士、あるいはソフトウエアハウス同士の交流は、意外なくらい希薄なような気がしております。もっとそこの交流が図れるような場があれば、新しい都市型産業が、より金沢らしさを加味して展開されるのではないかと思っております。
 その辺をもう少し具体的にということで展開したのがこの資料です。見方によっては、一見すると「あれもこれも」と羅列に見えますが、私なりには二つの要素で整理しております。リアルとバーチャルということです。現実の場を作るための家守という事業と、まさに今のネット社会を含めた、バーチャルな環境の中に金沢らしさを形成する。この二つの要素に分けてあります。四つのポイントの中の最初の部分が、リアルの部分です。世の中で言う不動産のサブリース事業ということで、これが先ほど来ご説明していただいたように、インフラのコンバージョンを経て、今あるオフィスを、SOHOを含めた新たな用途に展開する。ただし、それを展開する際に、既存のオーナーから家守会社が全部ビルを買い取ることになると、その資金負担も含めて大変なことになりますし、金融機関の目から見ても、そういう家守会社に融資はできないということになりますので、もっと資産の保有リスクは低くしておいて、サブリースという形で、なるべくバランスシートは軽くしておくという考え方です。
 それから2点め、3点め、4点め、これはまさにバーチャルの世界で何をやっていったらいいのかということです。考え方としては、銀行のメガバンクを含めた戦略の動きを見るとかなりのヒントがあります。2〜3日前の日経新聞の1面に紹介されていたと思いますが、みずほ銀行がICチップを埋め込んだカードを発行すると。たしか、みずほさんは2800万口座をお持ちだと。これは電子マネー機能やマイレージ機能を付加したクレジットカードで、しかもマイレージサービスに加入されるかたには年会費無料で対応するという記事が出ていました。これは、大きな流れでいうと、メガバンクの顧客囲い込み戦略ということになろうかと思います。
 これは不動産の展開、まちづくりの展開でも似たような動きがあります。世の中は東京を中心に動いている。東京モデルがいろいろな地方に展開されつつある。札仙広福を中心に、東京型の地域社会が比較的加速度的に広がりつつある状況だと思います。これに対して、地域の側から見ると、今日のテーマにもありますように、金沢らしさとか金沢風というものをどういう形で表現するかということが、ある種の防波堤の作り方といいますか、ここになろうかと思っています。ですから、恐らくバーチャルな世界でも同じことが問われつつあるだろう。
 そこで、私なりに考えますのは、家守事業でも、あくまでも地域へのこだわりということを意識しながら、どうすればバーチャルな手段をコミュニティーの再生の道具にできるかということです。例えば電子決済は比較的中心街、今日もあったような金沢の町中で、1枚のカードですべて決済できるような考え方です。これは、金沢の町中をモールにとらえていただくと非常に分かりやすいと思います。郊外店、具体例を挙げてしまうとあれですが、例えばイオンさんが大変地方展開には積極的であります。そして、イオンですと、イオンカードという1枚のカードで、イオンモールの中はすべて決済が可能になるということになっています。一方、中心街はポイントシステムが多種多様にありまして、私も金沢に生活することが長いと、何とかポイントカードというものを続々と頂くようになり、財布に収まりきらなくなるという状況です。そうすると、こういう煩雑さを感じながら町中で生活、あるいは購入するかたと、イオンモールのように1枚ですでにカード決済ができると。こうなると、やはり単純に勝ち負けでいくと勝てないということです。せめてフィフティ・フィフティの関係を、中心街で用意しなければいけないという考え方が、この電子決済といいますか、1枚の金沢カードといいますか、こういうことに帰結します。
 その次にある「観光資源・伝統産業を紹介するためのWebサイト」とは、楽天やヤフーに置き換えていただくと、これまた分かりやすいことだと思います。どんどんネットで決済しながら、ネットで購入する動きが出ておりますが、これは正直言って、新聞報道等にも出ていますが、統計が把握できない世界であります。幾ら売れているかは、日々きっと続々と増えていると思いますが、把握できない。ところが、これに乗り遅れると、やはりいろいろと課題が出てくる。先日もあるミーティングでお聞きしましたが、ヤフーで働いていたかたが自らおっしゃっていましたが、ヤフーのいちばんの弱点は何かというと、全国で一律で売れるものしか載せられない。要するに、地域ならではの商品がなかなかヤフーの中では扱いにくい状況になってくるという話をお聞きしました。ですから、まさに地域へのこだわりは、金沢なら金沢ならではのものをきめ細かく提供するサイトを立ち上げることによって、かゆいところに手が届く。こういう形の地域サイトが可能になってくると思います。
 そして、最後の「デジタル地域通貨、カーシェアリング」というものも、実はコミュニティーを形成する際に、やはりいろいろな意味のインセンティブが必要でしょうと。特に、若い世代のかたにとっては、町内会で草刈りや雪かきということを強制的にさせられること自体が、非常に苦痛になってこられている時代だと思います。そうはいっても、それを放置しておくと、雪かきについていうと、金沢市の財政負担につながってきます。要するに、ある町内会が雪かきをしなければ、そこの部分の道路が非常に交通上問題になる。そうすると、市が駆けつけてきて除雪するわけですが、この場所が増えれば増えるほど、除雪費がかさむわけです。したがって、これは何とかコミュニティーを維持あるいは向上させることによって、新たなコミュニティー形成の道具にする必要がある。
 そのためのインセンティブが、例えばデジタル地域通貨ということで、雪かきをするとデジタル上、一定レベルのポイントを頂ける。その頂けたポイントは、商店街のポイントカードの何かに振り替えられるという考え方です。あまりお金、お金ということをやると、コミュニティーの形成にかえってマイナスになってしまいますが、適度なインセンティブを与えてやることによって、コミュニティー形成のプラス材料にしようということです。
 同じような意味で、カーシェアリングについても今私なりに頭で描いているのは、町内会単位で車を共同購入します。これを町中に通勤で使います。今、金沢がやっている交通システムでいくと、4人で通勤するとバスレーンに乗れる。ということは、通勤時間が短縮できるというインセンティブが働く。これを町中のある駐車場に止めておきまして、普通は夜までの間その車は使われませんので、今度はあるボランティアの、例えていうと北陸鉄道でバスの運転を長くされて、リタイアされたけれどまだお元気だというかたに、少し有償ボランティアという形で参加していただいて、その空いている車で、町中でお住まいのお年寄りのご用聞き役になっていただく。ですから、会員としてあるお年寄りが契約を結んで、電話一本で病院まで行ってもらうとか、行った際には受付代行もしてもらう。あるいは、買い物に行ってもらって、重いお米や水を買ったときに家まで届けてもらう。こういったことも含めたご用聞き代行型の有償ボランティアタクシー、これを昼間の時間帯にやっていただく。そして、夕方になったら、またそれを通勤用に使っていただく。
 また、深夜や休日は、実は意外なくらい若いかた、車を持てないかたがデートのときに使いたいとか、そういう需要がどうもありそうなのです。これは、先日シンガポールに行って、ホンダさんが似たようなことをやっていたものですから、そのヒアリングをしてみましたら、予想以上にシンガポールの中でも、若いかたがカーシェアリングを夜や休日に使われるという結果を頂きました。いずれにしても、多様な用途ではありますが、道具としてのデジタル地域通貨やカーシェアリングがコミュニティー形成の新たな道具になる可能性はあろうかと思います。
 あまり絵にかいた餅ばかりお話ししていても、あれです。昨日も山出市長にごあいさつに行きましたら、「早く実績を出せ」という、励ましとともに厳しいお話も頂きましたので、小さくてもいいから実績を出していこうという考え方です。
 実は、最初にご紹介の例は、世田谷のものづくり学校といいまして、IDEE-R(イデーアール)さん、IDEEという、黒崎社長のもとに、東京の南青山で家具等の販売をされているデザイン関係の会社が、ちょうど家守と同じような形で、廃校になった池尻の中学校をお借りしまして、サブリースという形で、SOHOや新しいデザイン関係のテナントを誘致して、サブリース事業を展開するという動きがあります。実は、日本政策投資銀行が、この家守会社に相当するIDEE-Rさんに、今年の10月にご融資しています。これが、コンバージョン事業に対する融資の第1号です。
 実は東京の場合には、都内で過去5年間に、約60の小中学校が廃校になっているという事実があります。東京も、オフィスは埋まるけれど、実はこういう形の課題はありまして、やはり要らなくなった、使われなくなったものをどう使いこなすか。こういう課題の中から、一つのコンバージョン事業が展開され始めているという事例です。
 もう一つ、これはお隣に座っております宮田さんにご登場いただきながら、宮田さんが神宮前でされている、大変おしゃれなボルトバーというコンセプトの事業を、金沢で展開できないかという計画がありますので、まずその中身をご説明いただきたいと思います。お願いします。

(宮田) ゼンの宮田と申します。まず今から幾つかのスライドをごらんいただく前に、なぜこれを作ったのかというお話をさせていただいたほうがいいと思います。
 私が経営しているゼンという会社は、1998年にライフスタイル・エンターテインメントをコンセプトに立ち上げた会社です。何をする会社かというと、人々の生活や身の回りのさまざまなことを、さらに楽しくしていかれるような技術、情報、サービスを提供していく会社を立ち上げようということで作った会社です。もちろん技術や情報というところで、我々が目をつけて始めたのがインターネットで、それをベースに作りましたが、先ほど佐々木先生がおっしゃっていたように、我々はいわゆる創造産業なんです。
 まず、そのゼンという会社の名前を知っていただくきっかけとなったものが、ご紹介いただいた着メロというものです。着メロというものを世界で最初に手がけた会社として、あらゆるところでご紹介いただきまして、その着メロというビジネスも大成功を収めました。つまり、デジタルメディアというもので、まず耳というところで皆さんに楽しんでいただいたと。さらにここに来て、デジタルメディアも我々もいろいろな方向性を模索し始めて、次は目で楽しんでいただこうということで、昨年からデジタルアニメーションに力を入れて、現在アニメーションのスタジオもやっております。
(以下、スライド併用)

●このボルトバーは、実はある青山のビルの1階でやっているのですが、このバーの裏に、我々のデジタルアニメーションのスタジオがあります。このバーの地下に、我々の音楽を作るスタジオがあります。このビルの上に、我々の流通専門の子会社が入っていて、我々が作っているあらゆるデジタルアニメーションというもの、いわゆるデジタルコンテンツを、デジタルコンテンツは実際に手にとって見られないものなので、何とか我々が提供しているユーザーさんとの接点を作れるような場所を探している中で、こういった店舗の展開になりました。実際にここで見ていただく、触っていただく、買っていただくということをやっていこうということで作ったのがこの店なんです。ですから、この裏にあるデジタルアニメーションのスタジオで作られたもの、地下のスタジオで作られた音楽が、この店からダイレクトにオンエアされる。そして、購入していただくこともできるというコンセプトになっています。

●この店のコンセプトは、昼と夜とで違う営業形態でやっております。昼間はスムージーという100%フルーツのシェイクといいますかジュースといいますか、そういったものをメインに販売して、夜はダイニングバーという形で、夜中の2〜3時ぐらいまでやっております。この店で実際にお客様と話をして、これからどんなデジタルコンテンツがいいとかいうフィードバックも頂きながら、これからも五感に訴えていくようなコンテンツを、耳、目と来ましたから今度は口ですね。食ということを中心にしてやっていってみようと。さらに、この中にはインターネットのインフラも整っておりますので、我々の会社のデザイナーとクリエーターだけでなく、外部のデザイナーやクリエーターのいろいろな作品をここで展示したり、海外のクリエーター、デザイナーのグッズやデジタルアートもこの店で扱っています。

●これが店内です。見ていただくと、左の上に何となくグッズが置いてあるのが分かると思います。上の右側が道路に面した所ですが、マッキントッシュが数台置いてあって、自由にインターネットにアクセスしてもらったり、ここで我々が作ったソフトウエアを触ってもらったり、そんなことができるようになっています。下も、何となく店の雰囲気が分かってもらえると思います。

●拡大するとこんな感じでしょうか。実際に、テーブル席にもマッキントッシュが埋め込んであります。この店を作ってすぐに、まだ開店前でしたが、すぐに目をつけていただいたのが、やはりアップルコンピュータさんだったのです。こういった使われ方をしているケースは今までなかったので、非常に面白いと。また、店の中のBGMも、我々が作ったプログラムで、自動的に全く同じ曲がかかることなく、DJがやっているようにつながっていくようになっていまして、さらにこのテーブルにあるマッキントッシュからリクエストして、店の中の音楽に差し込んだりすることもできるようになっています。

●あと面白いのは、この同じ端末から、カクテルデータベースというものがあります。カクテルとはたくさん種類がありすぎて、大体皆さん同じものしか飲まないと思いますが、例えばジンベースでこんなカクテルがあって、そのカクテルはこんな歴史とこんな味ですよというふうに、いろいろなものが検索できるようになっているのです。実は、ボタンを押すとそれがバーテンダーのところに行って、バーテンダーがそれを見て作ることができるようになっています。ただ、小さい店なので、バーテンダーに直接言ったほうが早いのですが、大きい店なら非常に面白いのではないかと。
 そういう今までの飲食店になかったような、実験的なプログラムをいろいろ作ってやっています。ですから、実際にこの店の中には、いわゆるインターネットのサーバーというものが存在していて、そのサーバーが店の売り上げからアルバイトの時間の管理、音楽、あるいは、ここではネット通販もやっていますので、そういったものの管理をすべて一元管理して、ゼンの本社の本部に毎日自動的に送るようになっているのです。そこまでのシステムはなかなか今まではなかったので、うちの店は小さいながらも実験的にそういったことをやって、今後、そういうシステムを提供したり、我々の店舗を拡大していくときに役立つであろう一元管理のソフトウエアというものを作り上げてみたので、今後はそういうこともやってみようと思っています。
 ゼンの基本コンセプトは物づくりの会社なので、この店は物づくりの発信基地であって、お客様とのコミュニケーションスペースであったり、クリエーター同士のコミュニケーションスペースであったりということです。あとは、先ほどご紹介しましたように、我々が新しく始めたデジタルアニメーションのオンエアの場所であったり、いろいろなことに使っていくコンセプトで作っています。

●これが、先ほどの地下の音楽スタジオです。ここも変わったスタジオで、いわゆる音楽スタジオというと、非常に大きなミキサーがあって、本気でやろうとすると、億単位でお金がかかってしまうような設備ですが、我々が今回このスタジオを作ったのも、そんなに設備がなくても、今のこのデジタル時代ですから、もっと低コストでクオリティーの高いものができるのではないかと。ここも実験的に作ったのですが、そのコンセプトも非常にばっちりはまりまして、通常スタジオを作るコストの3分の1ぐらいのコストで作り上げたのですが、非常にクオリティーが高いと評判を頂きまして、今いろいろな制作のお仕事をやらせていただいています。スタジオっぽくないインテリアで今回は作ってみましたが、この居心地というか、クライアントさんも来てくださると、「面白いコンセプトだし、居心地もいいので、また使わせてもらうよ」という形で、その方がほかの方
を紹介してくれて、どんどん来てくれるようなスペースになりました。

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