「提案を受けて」(金沢市長コメント)

(山出市長) いろいろな話を聞かせていただき、楽しくお聞きしました。1つ1つ、私にとって参考になり、こういうご意見を参考にしながら、また仕事を進めるということは極めて大事だと思っています。面 倒くさいとかそういうことではなく、1つ1つまじめに丁寧に考えていくというのは、大事ではなかろうかと。そうしたら、きっといい仕事ができますし、いいまちができますし、いい暮らしになると思っています。
  いくつかお話しがあって、夜景の話でありましたが、市長として、例えば郊外で、運動場で夜間照明をすると、その隣に田んぼがあると、稲は徒長するのです。そして、必ず私のところに文句を言いに来ます。ですから、生態系への配慮ということは絶対に考えなければいけないと思います。照らしさえすればいいものではなかろうという思いは持っています 。
  今、石川門や近代文学館をライトアップしてくださったりしているのを見ると、金沢のライトアップはいいかたちで進んでいると申し上げていいのではないでしょうか。そうすると、個々の建造物をライトアップすることは、先生方もご苦心してくださるので安心するのですが、一般 にまちのいろいろなものの照明の仕方は、大変面倒です。私は非常に心配しています。
  この間、選挙運動で県庁の周辺を夜遅く回ると、不夜城みたいです。私はあれを見て本当にうんざりしました。なんたることだと思いました。やはり、イルミネーションのありようについて、1人1人の商売やさんも謙虚であってほしいという思いを持ちました。パチンコやさんが自己主張するだけのようなものは、本当にいけないわけです。今、市の方ではいろいろな景観行政はやってきています。今どういうことをやっているかというと、眺望景観ということについて議論をしています。その議論を進めながら、片やイルミネーション、夜間照明のありようについて、例えば基準を設定するとか、そういうことを議論する場と機会を作るとか、そういうことをやってみたいという思いを持っているということを申し上げたいと思います。また、よろしくご指導をお願いしたいと思います。
  大手門の中通の議論ですが、(スライドを)出していただけますか。寛永年間に大きな火事があり、もともとあの界隈は町屋が多かったそうですが、それから後に藩士の屋敷跡になるわけです。ですから大きい屋敷がずっと並んでいたはずです。確かにあそこから参勤交代が出ていったわけですが、私はどのルートで行ったかということについて興味があります。いろいろな意見を聞いて今日まで来ているのですが、どうも尾張町をこういったわけでもなさそうで、さりとて新町へ行ってこういったわけでもなさそうで、どうもこれではないかなと思います。*枯れ木*橋を渡ったという記事があるそうで、そうすると旧今町を通 って行ったのではないかといわれてます。
  私は大変興味があり、先程書いたものを見たら、こうなると門もいるなということですし、米沢さんのご意見でもやはり正門だったということです。お城の中から歩いていくということをイメージすると、やはりこれが大事だなというお考えはよくわかります。しかし、ここには結構固いものが立ちまして、難しいなという思いがあります。あなたがおっしゃるとおり歴史的な情緒を感じながら楽しく歩けということになると、うーんという思いがあります。
  ただ、私も結構歩いていますが、この横筋に結構残っています。早川さんのご実家も立派な家で残っていますね。横の道筋には美術商もいますし、和風旅館も残っています。ただ、ここにあった石川製作所、北日本紡績は殿町にありましたが、なくなってしまいました。社長にはいつも本社を残しておけと言っていたのですが、とうとう壊されてマンションになりましたが、あそこにも*村彦*病院というのもあり、いいものがあったのです。さりとて、そういうものを次から次へと市は買えません。そう簡単なわけにはいきません。財政的な限界もありますので、そこが難しいのです。
  ここにきて、橋場町界隈にいろいろな集積をしています。そこへ行って、いろいろなルートがあります。主計町、浅野川大橋、東の郭、東の郭の上に心の路、寺院群があって、お寺さんが群落をなしているのは日本の中でここだけなのですが、お寺の群落。そして東の茶屋街、浅野川大橋、主計町。これ全体を加えると、かなり大きいゾーンだと思います。そういう意味で東山界隈、浅野川界隈を大事にしたいのです。 いずれにしても、かなり計画を密にして、そして交通に対するお考えもまとめていただくといいなという思いを持っています。
  水野先生がおっしゃった「4つの花道」ですが、私は実は作家の五木先生と時折お会いするのですが、五木先生からきつく言われます。どういう言い方をなさるかというと、辛辣です。小松空港から西インターに来て、友達と一緒に車に乗っていると、友達に対して、これから金沢の中心街に入ると言うと、その通 りすがりは西インター大通りです。あの道路の周景からして、今から金沢の中心部に入りますよと友達に言えますか、と叱られるのです。何とも嫌でして、古くからやられています。
 平成5年ですが、西インター大通り景観形成協議会というのを作り、地元の人にも出ていただき、何とかならないかということをずっと言ってきましたが、なかなか難しいです。あれは県道でして、今、県で地中化等の仕事を始めていますので、それと合わせてこれから努力していきたいと思っています。メイン通 りですから。その途中に新神田の交差点がありますので、野立看板を押さえるという手だてをしていきたいと思っています。  北の花道も県道です。これはまだ手つかずですが、それほど厳しくありませんので、これから気をつけていくところだと思います。
 これは東の花道、小立野ですね。森山から来るのは北の花道、森山の交差点は先程申し上げました。これは国道でまだ手つかずです。南の花道は国道で、国が道路改良をやって地中化を一部進めています。これから国がやってくださるのは、犀川の大橋から有松に向かって、広小路界隈です。とりあえずはお宮さんの向かい側、山側を先にやろうということになっており、それに合わせてこれから道路をきれいにしていきたいと思っています。ご参考までに申し上げますが、市も私自身もそういうことに随分意識しています。今、東山・内灘線というのがあります。内灘の方から入ってきて市の農協の横を通 って、乙丸陸橋まで来ます。あの道路について、看板の禁止区域にしました。そして野立看板は設置しないということに決めました。
  どういうことをしたかというと、地権者と金沢市の間に協定を結び、看板は立てないようにしましょうという約束事を交わし、それで禁止区域に指定しました。そういう意味で、ここでは集合看板にしたいと思っており、場合によると田んぼ1枚を買って、そこに看板を集合させるということにしたいと思っています。湯涌街道、小立野から湯涌温泉の間も同じことをしました。これはこれからきれいになっていくだろうと思ってます。先程申し上げたとおり、新県庁舎周辺はこれから景観について十分気をつけなければならないと思っています。
  みなさん方もご心配いただいて、せっかく香林坊と武蔵がきれいになったのだから、そこを賑わい回廊にしようというお話しで、一生懸命知恵をいただいているわけです。あれをぜひきれいにしたいなという思いがあります。ちょっとした空地があれば、そこにストリートファニチャーの一つも置くとか、ベンチを置くとか、木を植えるとか、そういうことができればなという思いがあり、これをぜひいいものにしたい。いいものにして市民のみなさんにお見せするということが大事で、やはり看板やこういったことになると、市民の意識を高めるということが前提です。少しずつ意識は高まっていると感じていますが、さらに行政としても努力しなければならないと思っています。
  香林坊のお話も頭が痛いです。結構、今までいろいろなことを考えてきました。竪町、柿木畠、片町のPREGO、せせらぎ通 り、木倉町などいろいろなことをして、少しはよくなってきたかなと思っていますが、いよいよもって映画館のところとなったわけです。
  来春からふらっとバスを1台増やします。材木町から回って、武蔵へつないできます。今まで2ルートを走っていますが、これと今走る新しいルートをお互いにドッキングし、相互乗り入れできるようにしたいと思っています。いろいろな施策を重層的に展開せざるをえないわけで、できることは何でもやらなければなりません。
  私がこれから大変難しく悩み事として思っているのは、まちなかの駐車場というもののありようです。これをどうすればいいのかというのは私自身まだわかりません。まちなかに駐車場があれば、商売やさんが繁盛するという単純な考えがたくさんありますが、私は必ずしもそうは思っていません。やはりモール化を進めたいと思っています。そうすると、駐車場をどのようにまちなかに作るかです。あっていいのか、やめるのか、もしも作るのであったら、どういう作り方なのか。ここについての考え方をまとめていかなければいけないという思いがあります。
  最近、金沢でカフェテラスというものに大変興味を持っています。屋根だけつけて、カフェテラスや野外のビアホールなどそういうものがあったらいいなという思いがしています。金沢というまちは、国道であっても、向こう側に誰が歩いているか見えますから、そういう意味ではフレンドリーな雰囲気のできるまちだと思っています。遠く遠くに見えるまちではありません。おーいと呼べば、答えられるような至近距離にありますから、何となくそういう仕掛けはできるはずだと思っています。片町や武蔵などでカフェテラスみたいなものがどんどん増えていく状況もいいと思います。ワゴンもいいなと思います。いろいろなことをやってみたいという思いがあります。
 ヨーロッパなどのパブもいいなという思いがあり、ああいうものも町中にあってくれると楽しいんだがと思っています。いろいろな仕掛けをして、少しでもまちがよくなるように、元気になるようにしたいと思っています。今度、市長に出て、公約を申し上げます。第1は元気なまちを作ります。第2は美しいまちを作ります。こういうことでした。どうかご指導いただき、よろしくお願いします。

(大内) 市長さん、ありがとうございます。市長さんがここまでいろいろと考えられていらっしゃることを感心させられると同時に、まさか宿題をたくさんもらってしまうとは予想していませんでしたが、私たち学会のメンバーとしては、たぶん今日たくさん宿題をいただいてしまったと考えています。
  2日間にわたって、活発なご意見をいただきました。ぜひ今後も続けていきたいし、昨日も川勝先生からありましたように、この金沢学会は実践の学会であって、アカデミックな学会とは違うということは、今日みなさんもそういうふうに認識していただいて発言いただきましたし、これから私たちも日本に伝統的にあった実践の学問としての金沢学を育てていくための第一歩が踏み出せたかと思っています。  それではここで学会としての宣言を用意していますので、ここから先は福光さんにバトンタッチさせていただきたいと思います。


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