創造都市とは   佐々木

今日のプレゼンテーション、ディスカッション全体を通じて非常にたくさんのキーワードがでました。たとえば、クリエイティブとイノベーティブという問題、あるいはインプロバイズ、イマジネーティブなという問題、ドスが言ったように、大変厳しいグローバルなコンペティションの中で生き残っていくというのはどういうことなのかという問題が出されました。私もクリエイティブという言葉について少し調べてみました。1990年代になってから、世界で非常によく使われる言葉のひとつになっています。おそらく、21世紀の初頭にかけて、サスティナブルとクリエイティブという言葉は生き残って、もっと意味が重要になってくるのではないかと思います。これだけ世界中でクリエイティブという言葉を使うというのは、現状が、従来的な考え方では、もう打破できない非常な深い構造的な危機があるということです。地球環境の問題も深いもので、現在の通貨危機・金融危機の問題も非常に値が深い。世界的な人口爆発は飢餓を発生するし、民族的な対立も未だに続いています。21世紀はもっと明るい未来があると思っていましたが実は、重い解決困難な問題に直面しています。これを打ち破らなければならないということが私たちにクリエイティブという言葉を使わせているわけです。ですから、クリエイティブな問題解決をしたいということが、人類を取り巻いている状況のひとつではないでしょうか。これはひとつの背景です。二番目に、クリエイティブな都市という問題をなぜ今考える必要があるのかということです。ヨーロッパはもうすでにそうなっていますが、市民革命以来、国家という単位でものを考えてきました。これはもう古くなってきましたし、国家財政危機ということもあり、国から補助金をもらって事業を行うという発想は無理です。先進国はどこの国でも大きな財政赤字を抱えています。都市がそれぞれ自立的に解決困難な問題に直面して、それを乗り越える力を取り戻さなければなりません。したがって、ネーションステイトから都市へという流れがあり、それがクリエイティブシティという問題を私たちに投げかけているのではないかと思います。三番目に、クリエイティブという言葉の中にあるアートやカルチャー、インテリジェンスという問題が、人々の潜在的能力を呼び覚まします。現在、大変危機的な状況にある中で人々の持っている潜在的能力を呼び覚ますものをアートに求めているのです。したがって、イマジナーティブな、イノベーティブな産業や都市を創ることは、クリエイティブな問題を核にして行われようとしています。だから、もっとも大事なアートに焦点が集まっていると思います。その中で、インプロビゼーションといったわけです。伝統とコンテンポラリーという問題がぶつかったときに従来なら新しい発想が生まれます。金沢とアムステルダム、バーミンガムというそれぞれ対応性がある都市が集まって議論したときにお互いが触発されて新しい物が生まれます。これがクリエイティブな問題解決を高めるでしょう。私たちはこのような気軽な意見交換の場、アーティストの創造的な場をたくさん提供していく。それによって、世界の都市の次なる方向(ネクストポリシー)を一緒に考えたいというのが創造都市のアイデアです。